2018映画ベスト10
かなり久々の更新です。タイトル通り2018映画ベスト10です。
昨日、「アリー/スター誕生」を見て映画納めをしてきました。
今年の3月~で57本の映画を見ました。ベスト10+次点をざっくりご紹介。
次点3作
バーバラの心情がファンタジックな巨人との戦いの中で綺麗に描かれていました。巨人が「狙っているのは母親ではなくお前だ」と決定打を突き付けた時に「それでも私はあなたを倒す」と言いきれたバーバラは大丈夫、きっと自分で思ってるよりあなたは強いから、向き合って乗り越えて。と、とにかくバーバラを応援したくなる映画でした。邦題は残念としか言いようがない。
全体の不穏感と演出のキレが半端じゃなかった。とくに時間を飛び越える扉越しのあのシーン、ゾクッとしましたよね…。ラストの苦々しく終わっていく苦しい後味も良き。
十年 Ten Years Japan
杉咲花主演「DATE」がとにかく良かった。亡き母親のデータを見て、伝わるもの伝わらないもの。父親から話を聞いて、伝わるもの伝わらないもの、受け継がれるもの受け継がれたもの。時代が変わっても、そこに生じる齟齬は変わらなくて、だからこそ人のつながり、親子のつながりって独特だしいいよな…って。「十年後」に限らず普遍的な何かが透けて見えました。
10.A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー
光の使い方が最高の映画。そのせいもあってか、ゴーストが主人公なのに死んでいる空気があまりない。
死んでも思念はその場にとどまり続け、愛する人の悲しむ姿にも、変わっていく環境にも、大切なことを忘れていく自分にも、何もできないままひたすらに悠久の時を過ごしていく。その思いが巡って辿り着く先に、生きることの意味への一種の解答を見た気がします。タイトルが「”A” GHOST STORY」なのもタマラナイ。
9.海を駆ける
大好きな深田監督最新作。相変わらず水辺でゆらゆらと揺らぐ境目(今回は主に生死)を描いた良作。さらに爽やかな青春ヴァカンス映画にもなっているという。ラストシーンとか本当に暴力でしかない。相変わらずズギャーーンと殴ってくる狂暴かつ美しいカットが多かったですよね。好き。(語彙力の欠如)
8.犯罪都市
マ・ドンソクの最強張り手が見られるだけでも満足なのに、ちゃんとサスペンスしてるのが大変良いです。アクションシーンも、劇中銃火器が一切登場しない、というように拳とか棒とか斧とか、全体的に重量感のあるずっしりとしたものでこれまた好み。YouTubeに冒頭シーンがありますが、包丁を素手で薙ぎ払うマ・ドンソクおじさんって、期待するしかなくなるやつです。
何より全員悪人でしかないからすごいエゲツナイことしてても爽やかに見られるし。「弁護士のスタンさん」はひょっとしたら今年の映画のセリフの中ではベストかもしれないくらい好き。ほんと悪人だらけだなぁ。
森見登美彦の原作小説が本当に大好きなのですが、あのキラキラした世界が見事に映像化されていました。幼いころの、学校の裏山が、ちょっと遠くの体育館が、目に映るすべてが謎で、まるで世界の果てを見ているようだった、でも輝いていた。あの世界です。
クライマックスのペンギン・パレードとか、すごく美しくて、想像してた通りの世界がそこにあって、あまりにも完璧すぎて泣いた。アオヤマくんのモノローグもちゃんと活きていたし、なにより蒼井優が理想のお姉さん過ぎた。泣くな、少年。
6.君が君で君だ
「僕が僕であるために」、人を愛する方法で自分を縛ってしまった不器用な男の物語、と私は受け取りました。自分のアイデンティティを確立するのに人とか物事への態度を限定してしまうこと、ありますよね。それこそあの花畑とか、空港みたいに、奥底ではそうでない愛し方を望んでいる自覚だってあるのに。それが自分にはできない、自分が自分であるためには。
やや拡大解釈かもしれませんが、そうやってこの映画を見た時に池松壮亮の気持ち悪さにすべて説明がつき、納得どころか共感できた気までしたのです。危ない危ない。
とにかく映像が綺麗…。オープニングの水の中を漂うサリー・ホーキンスだけでもう最高。おとぎ話を見ているみたいな、フィクションの完成された形を見せてもらった気がします。それこそ「パンズラビリンス」の対極にあるよな…という感じ。あれに漂っていた絶望感はそこにはなくて、ひたすらに美しいだけ。それを徹底的にフィクションとして描くことで「嘘っぽい」という感覚を取り除くことに成功してるのではないかな、なんて考えたりします。………地毛だ!!
4.映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ
かつてプリキュアが大好きで、プリキュアになりたくて、そしてプリキュアだったすべての人に捧げる映画。劇中のプリキュアの台詞で、「キラキラ大切な思い出が、みんなが、私を支えてくれてる!だから、なにがあっても踏ん張れる、踏ん張ってみせる!」って、それは私たちの台詞だよ…。そして私たちのプリキュアとの思い出がプリキュアを助けるという…。泣くしかないですよ、これは。
ちゃんと初代3人、私が大好きだったキュアブラックは活躍するし、全員がちゃんと登場して見せ場があって、15周年にふさわしい傑作でした。
3.いつだってやめられる 3作
職を失った大学教授がわちゃわちゃと方向性を間違えて頑張っちゃう映画なんですが、何が良いって全員の大学教授感。ちょっとしたことでもすぐ議論が始まり、自分の分野の話となれば目が輝き早口になり、学術的誤りがあれば全力で否定し…。彼らのマシンガンイタリア語トークのギークな雰囲気がたまりません。全員キャラ立ちもしてるし。推しはバルトロメオです。不憫だけどうるさい。
ちゃんと社会問題も描きつつ、「面白い、笑える」映画になってます。スカッとするし、わちゃわちゃしちゃうおじさんたちを眺めるだけでも十分。あと、映像がめっちゃサイケ&音楽超カッコいい。
2.オーシャンズ8
最高にクールだし最高にゴージャスだしもう最高しか言えない。ルー様!!!衣装替えも滅茶苦茶な回数だし全部カッコいいしかわいいし、メットガラとか豪華絢爛以外の何物でもない。
女性だけでここまでクールにすべてをこなす映画って今までありました?内紛とかもなく、みんなで仲良く宝石泥棒!みたいな。メイキングで脚本の方が「仲間や友人と協力して自分の得意なことをする(この場合は犯罪だけど)、成し遂げる、その楽しさを描きたい」的なことおっしゃっていったのですが、それは本当にひしひしと伝わってくる。なぜ盗むかと言われたら「特技だから」、「友達が欲しかったから」。それじゃ悪い?という態度がマジで憧れる。
決行直前のデビーの「世界のどこかにいる、犯罪者を夢見る8歳の少女、彼女のためにやろう」という台詞、この映画の全女性に対するメッセージに聞こえてぐっと来てしまいました。
1.レディ・バード
本当にどこにでもいる、「ちょっと変わっている」と思い込んでいる女の子の物語。クラス一人はいるよね、こういう子、っていうジャストの人物像が完璧だし、女の子同士の関係、母親との関係がリアルで愛しくて。友人とチーズ大食いしてはしゃぐとか、母親といつものスーパーで買い物するとか、ついうっかりイケてる女子と無理してつるんでみちゃったりとか。あ、そういうことあった、っていうツボを完璧についてくるので女子は身に覚えがある点、多いんじゃないかな。
母親とのお互いを想い合っているからこその意地の張り合いとすれ違い、お互いに見せまいとする寂しさ。不器用だよな、とは思うけど、母娘っていつの時代でもこうなんだろうな、でも大好きなんだよな…。すごく地元、実家に帰りたくなる映画。